book&cinema手帖

本と映画の感想。
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『妙な話』(Kindle)芥川竜之介



突然目の前に現れ、妙な挨拶をしてくる赤帽。またある時は薄暗い駅の改札でまた妙なことを口走る赤帽。マルセイユのカフェに出没した赤帽。赤帽。赤帽。時に笑顔を見せ、時ににやりと不気味に笑う。ぞくっとした怖さの、奇妙な赤帽の残像が残ったまま迎えたラスト一ページのオチ!芥川ショートサスペンス劇場。


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『トロッコ』(Kindle)芥川竜之介



夕闇の心もとなさといったらこれだ。小学校の教科書でこの不安感と出会った私は、その後何度も読み返してはその不安を反芻してしまう。見知らぬ景色の高揚、冒険心、暮れてゆく時間と焦り。子どもの頃、少し離れた友だちの家に遊びに行き、時間を忘れて遊びに夢中になった。とうに過ぎた門限の時間。走って家に向かうが薄暗い風景は元来た道とまるで異なって、角を何度も曲がって見知らぬ場所に出てしまった。焦りと不安で泣きそうになるのを堪え、ようやく見知った通りに出た安堵。大人になっても、何度読んでも胸がきゅっと苦しくなる。
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『魔術』(Kindle)芥川竜之介


夕闇にそぼ降る時雨の音、ペンキの禿げた西洋館、ぼんやり灯る石油ランプの灯。幻想的な小道具が揃った舞台に立つ私。魔術を教えてくれるミスラくんの浅黒く、おそらく細いしなやかな指が作り出すテーブルの上の陰影。そしてテエブル掛けの花から香る麝香の香り。芥川竜之介のこの夕闇の刻の心もとなさ、騒ぐ心持ちの描き方がとても好き。教訓めいているわけではないのに、結末を予想してしまってドキドキしてしまう。まるで子どもの頃に見た怖い夢の一幕。

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『三月』大島真寿美

book三月

短大時代の友人ノンから電話を受け取った領子。
話は要領を得ず、18年も前に亡くなった共通の友人、森川君の夢を見たのだと言うノン。
そして同窓会の話が話題にのぼるが、話の流れで領子のはノンの住む東北地方へ
遊びに行く計画をたてる。
そしてその計画と森川君の話は、同じく仲のよかった明子、花、穂乃香へとつながってゆく。

短大時代、二十歳の頃と言えば、恋に学校に友情に明け暮れていて
自分たちが世界の中心にいるように思っていた気がする。
そんな頃から20年もたてば、自分自身はもちろん、周りの環境も大きく変わり。
まるで自分だけが取り残されて、友人たちは陽の当たる道を歩いているように
見えるのかもしれない。

ここに出てくる女性たちも、みなそれぞれに荷物を抱えていて。
それは恋人もできず、仕事もなく、ただ犬と暮らす孤独だったり
いっしょに暮らす、前妻の娘との不仲だったり
遠い昔の、将来を約束した恋人との別れだったり
夫に話せないでいる、元彼が亡くなった経緯だったり
信用していた真面目ひとすじだった夫の裏切りだったり。

そしてそんな苦くて悲しい現実を分かち合える友達。
私もつい日常に流されて疎遠になっていた学生時代の友人いて
なんだか自分もそのノンたちの一員になったような気がして。

「三月」というタイトルは、そんな彼女たちの卒業の意味合いがあると踏んでいましたが
まったく違う展開が待っていました。
さらっと軽く読めるけれど、女性には寄り添って共感できる部分が多い作品でした。

■目次■
・モモといっしょ
・不惑の窓辺
・花の影
・結晶
・三月
・遠くの涙

三月/大島真寿美 232P
2013年9月発行
お気に入り度:★★★☆☆
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『ジーキル博士とハイド氏』ロバート・ルイス・スティーヴンスン

「The Strange Case of Dr Jekyll And Mr Hyde」
bookジーキル博士とハイド氏


恐らく小学生くらいのときに、図書館の棚などで手に取って一度は読んだことがあるこの作品。
そしてあまりにも有名で衝撃的なそのストーリーに、かえって今までちゃんと読む機会が
なかったと思われる、いわゆる「ジキルとハイド」。

ジーキル博士とハイド氏。
この二人がどういう人間で、どういう関係か。
もう世間的にはネタバレもいいところだけど、一応伏せて書くけれど
要するにジーキル博士は人望も厚く、学問を究め、毎晩「書斎でランプの芯を切りそろえて」
いるような、温厚篤実な紳士。
一方、ハイド氏は醜悪な外見に加え、邪悪で残虐な悪のエネルギーに満ちた、
悪魔のようなならず者。
博士の周囲の人や、街の人たちはこの二人の出現に惑わされ、恐れおののくのです。

前半、ハイド氏の奇行の描写は鬼気迫るものがあるのですが、
最終章のジーキル博士の失踪と残された陳述書の中身を読むと
人間の弱さや悲しみがひたひたと押し寄せてくるのです。

あるサイトでこの作家を読むきっかけをいただいたのですが
大人になってから読んだことに意味があるのだろうと思います。
きっと子どもの頃はただ怖いという感想しか持てないことでしょう。
恐怖の裏に隠れた悲しみがわかるのは大人ということなのかもしれません。

ジーキル博士とハイド氏/R.L.スティーブンスン  128P
1994年11月16日発行
お気に入り度:★★★☆☆

<あらすじ>この本が初版だからでしょうか?
あろうことか表紙にあらすじと言う名のネタバレ全開・・・
写真にぼかしを入れてみました。笑

街中で少女を踏みつけ、平然としている凶悪な男ハイド。彼は高潔な紳士として名高いジーキル博士の家に出入りするようになった。二人にどんな関係が?弁護士アタスンは好奇心から調査を開始するが、そんな折、ついにハイドによる殺人事件が引き起こされる。(「BOOK」データベースより)
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